近年、目立たずに歯並びを整えられるマウスピース矯正が人気を集めています。透明で取り外しができるため、仕事や学校生活に影響が少なく、多くの患者さんに選ばれている治療方法です。しかし、「思ったような結果が得られなかった」「治療期間が長引いてしまった」といった声を耳にすることもあります。
マウスピース矯正は正しく取り組めば、美しい歯並びを手に入れられる素晴らしい治療法です。この記事では、千代田区の歯医者「市ヶ谷番町歯科クリニック」が、マウスピース矯正で失敗しないために知っておくべき7つのポイントをわかりやすく解説します。治療を検討している方も、すでに始めている方も、ぜひ参考にしてください。
1. マウスピース矯正で失敗したと感じる主な原因とは
マウスピース矯正で満足できなかったと感じる患者さんには、いくつかの共通する原因があります。事前に知っておくことで、同じような状況を避けることができます。
1.1. 装着時間を守れなかった
マウスピース矯正では、食事と歯磨きの時間を除く、1日24時間の装着が必要です。食事と歯みがきの時間以外は、ほぼ常に装着している必要があります。装着時間が短いと、歯が計画通りに動かず、治療期間が延びたり、理想的な結果が得られなくなったりします。
仕事の都合や外出時についつい外してしまう、装着するのを忘れてしまうといったケースが多く見られます。装着時間の管理は、患者さん自身の責任となるため、自己管理が苦手な方には難しい場合があります。

1.2. 適応症例ではなかった
すべての歯並びの問題がマウスピース矯正で治せるわけではありません。重度の出っ歯や受け口、歯を大きく動かす必要がある症例などでは、ワイヤー矯正のほうが適している場合があります。歯並びの乱れに骨格的な理由がある場合は、外科処置が必要になるケースもあります。
カウンセリング時に十分な検査を行わず、マウスピース矯正の適応範囲を超えた症例で治療を始めてしまうと、思うような結果が得られないことがあります。

1.3. 治療計画の変更に対応できなかった
マウスピース矯正では、治療の途中で歯の動きが計画とずれることがあります。その際には、マウスピースを作り直したり、追加のアタッチメントをつけたりする必要があります。
定期的な通院を怠ったり、歯科医師の指示に従わなかったりすると、治療計画のずれに気づくのが遅れてしまいます。結果として、治療期間が大幅に延びたり、理想的な仕上がりにならなかったりする原因となります。
2. 失敗しないためのポイント①:自分の症例が適しているか確認する
マウスピース矯正を成功させるための第一歩は、自分の歯並びがマウスピース矯正に適しているかを正確に見極めることです。
2.1. マウスピース矯正が得意な症例
マウスピース矯正は、以下のような症例に適しています。
- 軽度から中程度の歯のでこぼこ
- すきっ歯
- 軽度の出っ歯
- 噛み合わせが深い・前歯が閉じない
- 以前矯正した歯が少し後戻りしたケース
これらの症例では、マウスピース矯正で十分に美しい歯並びを実現できる可能性が高いです。治療期間も比較的短く、患者さんの負担も少なく済むでしょう。

2.2. マウスピース矯正が難しい症例
一方で、以下のような症例ではワイヤー矯正のほうが適している場合があります。
- 重度の出っ歯や受け口
- 歯を大きく移動させる必要がある
- 歯を回転させる動きが多い
- 抜歯が複数本必要
- 骨格的な問題が大きいケース
市ヶ谷番町歯科クリニックでは、精密検査の結果をもとに、マウスピース矯正が適しているかどうかを正直にお伝えしています。無理にマウスピース矯正を勧めることはせず、患者さんにとって最適な治療法をご提案します。

2.3. 精密検査で適応を見極める重要性
マウスピース矯正の適応を正しく判断するには、CT撮影、口腔内写真、歯型の採取などの精密検査が欠かせません。これらのデータをもとに、歯科医師が治療計画をシミュレーションして実現可能性を判断します。
カウンセリング時に、どのような検査を行うのか、どのくらいの期間で治療できる見込みなのかをしっかり確認しましょう。

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3. 失敗しないためのポイント②:1日24時間の装着時間を守る
マウスピース矯正で最も大切なのは、決められた装着時間を守ることです。
3.1. 装着時間が不足するとどうなるか
装着時間が不足すると、歯が計画通りに動きません。次のマウスピースに交換するタイミングになっても、歯がマウスピースの形に合わず、きつくて装着できなくなることがあります。
その場合、ひとつ前のマウスピースに戻って装着し直す必要があり、治療期間が延びてしまいます。最悪の場合、マウスピースを最初から作り直すことになり、追加費用が発生する可能性もあります。

3.2. 装着時間を守るための工夫
装着時間を守るには、日常生活の中で習慣化することが大切です。以下のような工夫をしてみましょう。
- 食事が終わったら、歯磨きをして装着することをルーティンにする
- スマートフォンのリマインダー機能を活用する
- 外出時には必ず歯ブラシと専用ケースを持ち歩く
- 洗面所など目につく場所に装着時間の目安を貼っておく
最初は意識する必要がありますが、慣れてくると自然と装着できるようになります。


3.3. 外出時や仕事中の管理方法
外出先や職場でマウスピースを外した際には、必ず専用ケースに入れて保管しましょう。ティッシュに包んで置いておくと、誤って捨ててしまうことがあります。
また、外食の際には食後すぐに歯みがきができない場合もありますが、最低限うがいをしてからマウスピースを装着しましょう。できれば携帯用の歯ブラシとフロスを持ち歩くと安心です。
4. 失敗しないためのポイント③:経験豊富な歯科医院を選ぶ
マウスピース矯正の成功は、歯科医院の技術と経験に大きく左右されます。
4.1. マウスピース矯正の症例数を確認する
マウスピース矯正は比較的新しい治療法のため、歯科医院によって経験値に大きな差があります。ホームページや初回カウンセリングで、これまでの症例数や実績を確認しましょう。
症例写真を見せてもらうことで、その歯科医院がどのような治療を得意としているかが分かります。自分と似た症例の治療実績があるかどうかもチェックポイントです。
市ヶ谷番町歯科クリニックでは、世界中で最も治療患者数の多い「インビザライン」を採用しています。
累計症例1,000件を超える豊富な知識と経験を活かして、適宜法人内のドクターが治療計画をチェックしあいながら、患者さん一人ひとりにとって最適な治療の提供を目指して、チームで診療にあたっています。

4.2. 認定医や専門医の資格の有無
マウスピース矯正を提供している各メーカーには、認定医制度があります。一定以上の研修を受けた歯科医師だけが認定医として認められています。
また、日本矯正歯科学会の認定医や専門医の資格を持つ歯科医師がいる歯科医院であれば、矯正治療全般の知識と経験が豊富であると判断できます。
4.3. カウンセリング時にチェックすべき質問
初回カウンセリングでは、以下のような質問をしてみましょう。
- 自分の症例はマウスピース矯正で治療可能か
- 治療期間はどのくらいかかる見込みか
- 治療プランにはどんな内容が含まれているか
- 追加費用が発生する可能性はあるか
- 治療中や治療後のフォローはあるか
これらの質問に対して、丁寧に分かりやすく説明してくれる歯科医院を選びましょう。
5. 失敗しないためのポイント④:定期的な通院とチェックを欠かさない
マウスピース矯正は自宅で装置を交換していく治療ですが、定期的な通院は必ず必要です。
5.1. 定期チェックで治療の進行を確認
通常、1か月から3か月に1回程度のペースで通院し、歯の動きが計画通りに進んでいるかをチェックします。必要に応じてCTや歯型、口腔内写真を撮影し、シミュレーションと実際の歯の位置を比較します。
定期チェックを受けることで、問題があれば早期に発見して対処できます。通院を怠ると、治療計画とのずれが大きくなり、修正が困難になる場合があります。

5.2. トラブルの早期発見と対処
マウスピースが合わなくなった、アタッチメントが外れた、歯ぐきに痛みがあるなどのトラブルが起きた際には、早めに歯科医院に連絡しましょう。
小さなトラブルでも放置すると、治療全体に影響を及ぼす可能性があります。市ヶ谷番町歯科クリニックでは、治療中の患者さんからのご相談をいつでもお受けしています。お気軽にご相談ください。

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5.3. 通院間隔の目安
マウスピース矯正の通院間隔は、治療の進行状況によって異なりますが、おおむね以下のような目安になります。
| 治療段階 | 通院間隔 | 内容 |
|---|---|---|
| 治療開始直後 | 1週間から1か月 | アタッチメントやIPRなどの処置、装着状況の確認、トラブル対応 |
| 治療中期 | 1か月から3か月 | 歯の動きの確認、次のマウスピースの受け取り |
| 治療終盤 | 1か月から3か月 | 仕上がりの調整、リテーナーの準備 |
通院スケジュールは歯科医師の指示に従い、予約を守るようにしましょう。

6. 失敗しないためのポイント⑤:アタッチメントや補助装置の役割を理解する
マウスピース矯正では、マウスピースだけでなく、さまざまな補助装置を使用することがあります。
6.1. アタッチメントとは何か
アタッチメントとは、歯の表面につける小さな突起物です。歯と同じ色の樹脂でできており、マウスピースがしっかりと歯にフィットして力を伝えるための重要な役割を果たします。
特定の歯を動かす際に必要となり、治療の途中で追加したり、取り外したりすることもあります。目立ちにくいため、日常生活での影響はほとんどありません。

6.2. ゴムかけなどの補助装置の重要性
症例によっては、顎間ゴムというゴムを上下の歯にかける処置が必要になることがあります。これは、咬み合わせを調整したり、歯をより効果的に動かしたりするために使用します。
ゴムかけは患者さん自身で行う必要があり、指示された時間・指示された通りにしっかりと装着することが大切です。

6.3. 指示通りに使用することの大切さ
アタッチメントやゴムかけなどの補助装置は、治療計画において重要な役割を担っています。歯科医師の指示通りに使用しないと、歯が計画通りに動かず、治療期間が延びたり、理想的な結果が得られなくなったりします。
面倒に感じることもあるかもしれませんが、美しい歯並びを手に入れるために必要なステップとして、しっかりと取り組みましょう。
7. 失敗しないためのポイント⑥:リテーナー(保定装置)を必ず使用する
マウスピース矯正で歯並びが整った後も、治療は終わりではありません。保定期間が非常に重要です。
7.1. 後戻りのリスクと原因
矯正治療で動かした歯は、元の位置に戻ろうとする性質があります。これを後戻りといいます。特に治療直後は歯の周りの骨がまだ固まっていないため、後戻りしやすい状態です。
リテーナーを使用しないと、せっかく整えた歯並びが数か月で元に戻ってしまうこともあります。これまでの努力と費用が無駄にならないよう、保定期間をしっかり守りましょう。

7.2. リテーナーの装着期間
保定期間の目安は、矯正治療にかかった期間と同じくらいです。治療に1年かかった場合は、最低でも1年間はリテーナーを装着する必要があります。
最初の1年程度は、食事と歯みがき以外の時間はほぼ常に装着します。その後は、歯科医師が歯並びの状態を確認しながら、就寝時のみの装着に移行していくのが一般的です。

7.3. 保定期間中の注意点
リテーナーも定期的なチェックが必要です。数か月に1回は歯科医院を受診し、後戻りしていないか、リテーナーが正しく機能しているかを確認してもらいましょう。
また、リテーナーは消耗品です。破損したり、合わなくなったりした場合には、すぐに歯科医院に連絡して新しいものを作成してもらいましょう。せっかく整えた歯並びが再び乱れてしまわないようにするには、歯科医師の指示通りリテーナーを装着することがポイントです。

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8. 失敗しないためのポイント⑦:契約前に治療内容と費用を明確にする
マウスピース矯正を始める前に、費用面についてもしっかりと確認しておくことが大切です。
8.1. 追加費用が発生するケース
基本的な治療費用に含まれる内容と、追加費用が発生する可能性があるケースを事前に確認しましょう。以下のような場合に追加費用がかかることがあります。
- マウスピースの作り直しが必要になった場合
- 治療期間が予定より延びた場合
- ワイヤー矯正との併用など追加の処置が必要になった場合
- リテーナーの作り直しが必要になった場合
どのような条件で追加費用が発生するのか、契約前に明確にしておきましょう。

8.3. 契約書の内容をしっかり確認
治療契約を結ぶ際には、契約書の内容を隅々まで確認しましょう。特に以下の点に注意してください。
- 総額費用とその内訳
- 支払い方法(一括払い、カード払い、デンタルローンなど)
- キャンセルポリシー
- 治療期間の目安と延長時の対応
分からないことがあれば、遠慮せずに質問しましょう。市ヶ谷番町歯科クリニックでは、患者さんが納得されるまで丁寧にご説明しています。ご不安なことがありましたら、お気軽にご相談ください。
9. まとめ
マウスピース矯正は、正しい知識を持って取り組めば、美しい歯並びを手に入れられる優れた治療法です。失敗しないためには、以下の7つのポイントをしっかりと押さえましょう。
- 自分の症例が適しているか精密検査で確認する
- 1日24時間の装着時間を必ず守る
- 経験豊富な歯科医院を選ぶ
- 定期的な通院とチェックを欠かさない
- アタッチメントや補助装置を指示通りに使用する
- 治療後のリテーナーを必ず装着する
- 契約前に治療内容と費用を明確にする
マウスピース矯正の成功には、患者さん自身の協力が不可欠です。装着時間の管理や定期通院など、面倒に感じることもあるかもしれませんが、理想の歯並びを手に入れるための大切なステップです。
分からないことや不安なことがあれば、遠慮なく歯科医師に相談しましょう。信頼できる歯科医院と二人三脚で治療に取り組むことが、成功への近道です。素敵な笑顔を手に入れるために、一緒にがんばりましょう。



