インビザライン治療を始めたばかりの方や、マウスピース矯正を検討中の患者さんから、よくこんな質問をいただきます。「マウスピースをつけたまま、何か食べたり飲んだりしてもいいのでしょうか?」治療中の飲食ルールは、快適に矯正生活を送るうえでとても大切なポイントです。
この記事では、千代田区の歯医者、市ヶ谷番町歯科クリニックが、インビザライン装着中に飲食できるものと避けるべきものを、わかりやすく整理してご紹介します。正しい知識を身につけることで、マウスピースを長持ちさせながら、ストレスの少ない矯正生活を送ることができますよ。
1. インビザラインの基本ルール:原則は外して食事
1.1. なぜインビザラインを外して食べる必要があるのか
インビザラインのマウスピースは、食事の際には必ず外すことが基本ルールとなっています。これは単なる推奨ではなく、治療効果を最大限に引き出し、マウスピースの品質を保つために必要不可欠なルールです。
マウスピースをつけたまま食事をすると、以下のような問題が起こる可能性があります。
- マウスピースと歯のあいだに食べ物が入りこむ
- マウスピース自体が破損したり変形したりする
- 着色や臭いの原因になる
- むし歯や歯周病のリスクが高まる
マウスピースは透明で薄い素材でできているため、噛む力によって簡単に割れたり歪んだりしてしまいます。治療計画どおりに歯を動かすためにも、食事の際は必ず外すことを習慣づけましょう。

1.2. マウスピースをつけたまま食べるとどうなる?
もしマウスピースをつけたまま食事をしてしまうと、どのようなトラブルが起きるのでしょうか。具体的なリスクを知っておくことで、より注意深く取り扱えるようになります。
まず、食べ物がマウスピースと歯のあいだに挟まることで、歯が長時間汚れにさらされた状態になります。通常であれば唾液が洗い流してくれる食べかすも、マウスピースで覆われているとその場に留まってしまうのです。
さらに、硬い食べ物を噛むことでマウスピースに亀裂が入ったり、変形したりすることがあります。一度変形してしまったマウスピースは、正しい矯正力を歯に伝えられなくなってしまいます。その結果、治療期間が延びてしまったり、追加の費用がかかったりする可能性もあるのです。

1.3. 食事のたびに外すのが面倒と感じる方へ
「毎回外すのは面倒だな」と感じる気持ち、とてもよくわかります。特に外出先や職場では、人目が気になったり、外す場所を探したりするのが大変ですよね。
しかし、インビザラインの大きなメリットは、取り外しができることにあります。ワイヤー矯正では食事のたびに食べかすが装置に絡まり、お手入れにとても時間がかかります。それに比べると、インビザラインは外してしまえば普段どおりの食事を楽しめるという、とても大きな利点があるのです。
慣れてしまえば、外したり装着したりする動作は10秒もかかりません。食事の前にマウスピースを外し、食事のあとには歯磨きやフロスをしてからマウスピースを付け直す習慣づけを早めに行うのがポイントです。
市ヶ谷番町歯科クリニックでは、患者さんが快適に治療を続けられるよう、携帯用のケースや外出先でのケア方法についてもアドバイスをいたします。インビザラインで矯正中のスタッフも複数おりますので、ご不安なこと・気になることがあればお気軽にご相談ください。

2. インビザラインをつけたまま飲めるもの完全リスト
2.1. 水(常温・冷水)は基本的にOK
インビザラインをつけたまま飲んでも問題ないものは、実はかなり限られています。その中で安心して飲めるのが、常温または冷たい「水」です。
水には糖分も色素も含まれていないため、マウスピースを着色したり、むし歯のリスクを高めたりする心配がありません。装着時間を確保するためにも、こまめな水分補給には水を選ぶことをおすすめします。
ただし、冷たすぎる水を一気に飲むと、マウスピースと歯のあいだの温度差で違和感を覚えることがあります。特に知覚過敏の傾向がある方は、常温の水を選ぶとより快適に過ごせるでしょう。

2.2. 白湯・ぬるま湯も安心して飲める
常温の水と同様に、白湯やぬるま湯もインビザライン装着中に飲んで問題ありません。特に寒い季節には、温かい飲み物が欲しくなりますよね。
ただし注意したいのは、熱すぎる白湯は避けるということです。インビザラインのマウスピースは熱に弱い素材でできているため、熱湯を口に含むと変形してしまう可能性があります。人肌程度のぬるめの温度であれば、マウスピースに影響を与えることなく安心して飲むことができます。手で触って「少しあたたかいな」と感じる程度の温度を目安にしてください。

2.3. 炭酸水は無糖タイプなら多少飲んでも良い
無糖の炭酸水も、インビザラインをつけたまま飲める飲み物のひとつです。水と同じく糖分や色素が含まれていないため虫歯や着色のリスクは少なめです。
ただし、“炭酸水”という名の通り、酸性の飲み物です。飲み過ぎ、だらだらと日常的に飲み続ける習慣は、歯を酸性に晒し「酸蝕症」というエナメル質が溶けてしまう症状の原因となるので、注意が必要です。特に、レモンフレーバーなどの香りがついた炭酸水は、酸性度が高くなりがちなので控えましょう。
市ヶ谷番町歯科クリニックの患者さんの中には、水だけでは物足りないと感じる方もいらっしゃいます。そのような場合、無添加の炭酸水を適度に取り入れることで、装着時間を保ちながらリフレッシュできますよ。

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3. インビザラインをつけたまま飲むのを避けるべきもの
3.1. 熱い飲み物(コーヒー・紅茶・お茶)
コーヒーや紅茶、緑茶などの熱い飲み物は、インビザライン装着中は避けるべき飲み物です。理由はふたつあります。
ひとつ目は、熱によるマウスピースの変形リスクです。インビザラインは熱に弱いプラスチック素材でできているため、高温の液体に触れると柔らかくなり、形が変わってしまいます。
ふたつ目は、着色の問題です。コーヒーや紅茶、緑茶には色素が含まれているため、マウスピースをつけたまま飲むと着色し、透明感が失われてしまいます。せっかくの目立たない矯正治療も、黄ばんだマウスピースでは台無しになってしまいますよね。
これらの飲み物を楽しみたいときは、マウスピースを外したあとに飲み、飲み終わったら歯磨きをしてから再装着するようにしましょう。

3.2. 色のついた飲み物(ジュース・スポーツドリンク)
オレンジジュースや野菜ジュース、スポーツドリンクなど、色のついた飲み物も装着中は避けてください。これらの飲み物には色素が含まれているだけでなく、糖分や酸も含まれています。
マウスピースをつけたまま甘い飲み物を飲むと、糖分がマウスピースと歯のあいだに留まり、むし歯のリスクが大幅に高まります。また、柑橘系のジュースに含まれる酸は、歯のエナメル質を溶かす原因にもなります。
たとえ一口だけでも、色や糖分のある飲み物はマウスピースを外してから飲む習慣をつけましょう。健康的なイメージのある野菜ジュースやフルーツジュースも同様です。

3.3. 糖分を含む飲み物全般
スポーツドリンク、加糖のヨーグルトドリンク、甘いカフェラテやミルクティーなども、インビザライン装着中は避けるべき飲み物です。
一見すると色が薄く、問題なさそうに見える飲み物でも、糖分が含まれていればむし歯のリスクは高まります。マウスピースで覆われた歯は、通常よりも唾液による自浄作用が働きにくい状態です。
そのため、わずかな糖分でも長時間歯に接触することで、むし歯菌の活動を活発にしてしまいます。どうしても甘い飲み物が飲みたいときは、必ずマウスピースを外し、飲んだ後は水で口をすすぐか、できれば歯磨きをしてから再装着しましょう。

3.4. アルコール類の注意点
お酒が好きな方にとって、インビザライン治療中の飲酒について気になるところですよね。基本的に、アルコール類もマウスピースを外してから楽しむことをおすすめします。
ビールやワイン、日本酒、カクテルなどには、糖分や色素が含まれているものが多くあります。特にワインは歯やマウスピースを着色しやすい飲み物の代表格です。
また、アルコールを飲むと口の中が乾燥しやすくなり、唾液の分泌量が減ってしまいます。これもむし歯のリスクを高める要因のひとつです。お酒を楽しむ際は、マウスピースを外して、飲み終わったら丁寧に歯磨きをしてから装着するようにしてください。

4. どうしても外せない時の対処法
4.1. 短時間なら飲んでも大丈夫なケースとは
大切な会議やプレゼンテーションの最中など、どうしてもマウスピースを外せない状況もあるかもしれません。そのような場合、短時間であれば水以外の飲み物を少量飲んでも、すぐに大きな問題が起こるわけではありません。
ただし、これはあくまでも緊急的な対応であり、日常的に行うべきことではないと理解してください。たとえば会議中に出されたコーヒーを一口だけ飲む、といった程度であれば、その後のケアをきちんと行えば大きな影響はないでしょう。
とはいえ、できる限りマウスピースを外したあとに飲むことが基本です。少しの時間でも席を外せるタイミングがあれば、先に外すことをおすすめします。

4.2. 飲んだ後すぐにできる応急ケア
マウスピースをつけた状態で水以外の飲み物を飲んだ時には、できるだけ早く以下のケアを行いましょう。
- マウスピースを外して水でよくすすぐ
- マウスピースだけでなく、口の中も水でしっかりとゆすぐ
- 可能であれば、歯磨きをしてからマウスピースを付け直す
外出先で歯磨きが難しい場合は、水で何度も口をゆすぐだけでも効果があります。市ヶ谷番町歯科クリニックでは、携帯用のマウスウォッシュを持ち歩くことをおすすめしています。水だけよりも、より効果的に口の中を清潔に保つことができます。

4.3. ストローを使った工夫
どうしてもマウスピースを外せない状況で飲み物を飲む必要がある場合、ストローを使うという方法もあります。ストローを使うことで、飲み物が歯やマウスピースに直接触れる時間を短くすることができます。
ただし、これも完全な解決策ではありません。口の中に入った飲み物は、最終的には歯全体に広がってしまいます。また、熱い飲み物をストローで飲むのは危険ですし、マウスピースの変形リスクも変わりません。
ストローの使用は、あくまでも「どうしても外せないときの応急的な工夫」として考えてください。日常的には、やはりマウスピースを外してから飲食することが大切です。

5. インビザライン装着中の食事を快適にする工夫
5.1. 携帯用ケースで外出先でもスムーズに
インビザライン治療を快適に続けるためには、外出時の準備が大切です。特に携帯用のマウスピースケースは必須アイテムといえます。
専用のケースがあれば、外したマウスピースを清潔に保管できます。ティッシュやナプキンに包んで置いておくと、うっかり捨ててしまったり、落としてしまったりする危険があります。
小さめのポーチに、マウスピースケース・歯ブラシ・歯磨き粉・デンタルフロスをまとめて入れておくと便利です。これらを常に持ち歩くことで、外出先でも食事を楽しみながら、きちんとしたケアができるようになります。

5.2. 食後のケアを簡単にする便利グッズ
外出先での食後ケアをもっと簡単にするために、いくつかの便利グッズを活用してみましょう。
まず、使い捨ての歯磨きシートは、水が使えない場所でも歯の表面を拭き取ることができます。また、個包装のマウスウォッシュは、荷物にならず持ち運びに便利です。
歯磨きが難しいタイミングでも、全体にフロスを通して食後にマウスピースをさっと洗い流すだけでも、清潔さを保つことができます。少しの工夫で、外出先でのケアがぐっと楽になりますよ。

5.3. 装着時間を守りながら食事を楽しむコツ
インビザラインは、1日20〜22時間以上の装着が推奨されています。食事と歯磨きの時間を除くと、ほぼ1日中装着している計算になります。
装着時間を確保しながら食事を楽しむには、食事の時間をある程度計画的にすることがポイントです。たとえば、間食を減らして3回の食事にまとめることで、外している時間を短く済ませることができます。
また、食事そのものをゆっくり楽しみ、食後のケアを丁寧に行うことで、治療効果を高めながら生活の質も保つことができます。「マウスピース矯正をして痩せた」とおっしゃる方の多くは、飲み物や間食などの食事習慣の見直しがきっかけとなっています。マウスピース矯正は、食事の時間や内容を見直すよい機会にもなるはずです。ご不安なことがございましたら、お気軽にご相談ください。

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6. まとめ
インビザライン治療中の飲食ルールについて、詳しくご紹介してきました。基本的なルールは「食事の際は必ず外す」「装着中に飲めるのは水だけ」というシンプルなものです。
このルールを守ることで、マウスピースを清潔に保ち、むし歯のリスクを減らし、治療計画どおりに歯を動かすことができます。最初は面倒に感じるかもしれませんが、慣れてしまえば自然な習慣になります。
市ヶ谷番町歯科クリニックでは、患者さんひとりひとりのライフスタイルに合わせた具体的なアドバイスを行っています。インビザライン矯正中の飲食について、少しでも疑問や不安があれば、どうぞお気軽にご相談ください。正しい知識と少しの工夫で、快適な矯正生活を送りながら、理想の歯並びを手に入れましょう。


